2026年8月5日 —
イーライリリー(Eli Lilly)は、1型ゴーシェ病(GD1)を対象に開発中であったAAV(アデノ随伴ウイルス)ベースのGBA1遺伝子治療薬「LY3884961」を評価する第1/2相臨床試験を中止しました。
本プログラムは、リリーが2020年に約10億ドルで買収したプリベイル・セラピューティクス(Prevail Therapeutics)に由来するものです。プリベイルの主要なAAV遺伝子治療プログラムには、GBA1関連疾患を対象とするLY3884961と、前頭側頭型認知症を対象とするLY3884963が含まれていました。なお、リリーは今年2月にLY3884963の開発もパイプラインから除外しています。
リリーによると、1型ゴーシェ病を対象としたAAVベースのGBA1遺伝子治療プログラムは同社内部の基準を満たさなかったため、パイプラインから削除されたとのことです。また、安全性に関する懸念(セーフティシグナル)は観察されなかったと説明しています。
LY3884961は、1型ゴーシェ病の末梢症状を有する成人患者を対象とした第1/2相試験で評価が行われていました。同試験は、最大3つの用量段階における本遺伝子治療薬の安全性および耐容性を評価するよう設計されていました。
1型ゴーシェ病は、GBA1遺伝子の変異によって酵素活性が低下することで引き起こされる遺伝性ライソゾーム病です。AAV遺伝子治療アプローチは、正常に機能するGBA1遺伝子を導入することで、遺伝子レベルから根本的な治療を目指すものです。
LY3884961は、プリベイルの買収以降、いくつかの難局に直面してきました。2022年にリリーは、本遺伝子治療薬の発売予定時期の変更に主に関連する減損処理を報告しました。さらに2024年には、2型ゴーシェ病(GD2)を対象とした本アセットの開発を終了しています。
リリーはGD1およびGD2におけるLY3884961の開発を中止したものの、AAVベースのGBA1遺伝子治療プログラムについては、「PROPEL試験」を通じてパーキンソン病を対象とした評価を継続すると述べています。
今回の開発中止により、リリーのAAV遺伝子治療パイプラインは縮小することになります。パーキンソン病向けプログラムに加え、同社は2022年にアコウオス(Akouos)の買収を通じて獲得した、オトフェリン遺伝子に起因する難聴および前庭神経鞘腫を対象とする第1/2相遺伝子治療試験を進めています。
リリーのGD1分野からの撤退は、ゴーシェ病に対するAAV遺伝子治療の領域から大手製薬企業が1社離脱することを意味します。一方で、GD1を対象にGBA1遺伝子治療の第3相試験を実施しているスパー・セラピューティクス(Spur Therapeutics)をはじめ、リンイー・バイオテック(Lingyi Biotech)やサノフィが支援する研究プログラムなど、他の企業は現在も開発を継続しています。
今回のニュースは、安全性、生体内分布、持続性、用量設定、そして臨床的有用性のすべてが開発継続に向けて合致しなければならないという、ライソゾーム病に対するAAV遺伝子治療プログラムの難しさを改めて浮き彫りにしています。
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