
AAV(アデノ随伴ウイルス)は遺伝子治療でよく用いられるベクターですが、天然型セロタイプが持つ tropism(組織/細胞嗜好性) には限界があります。標的化(特定の細胞や組織への感染精度)を高めるには、主に パッケージング戦略やカプシド工学 が利用されます。
1. 適切なセロタイプやキメラセロタイプの選択
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天然セロタイプの選択 例:
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AAV9 → 心臓、神経系
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AAV8 → 肝臓
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AAV6 → 筋肉、呼吸器
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キメラセロタイプ(例:AAV-DJ, AAV-LK03):複数セロタイプのカプシド遺伝子を組み合わせ、新しいtropismを持つ変異体を得る。
2. カプシドタンパク質の改変(Capsid engineering)
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点変異(rational design):VP1/VP2/VP3の特定アミノ酸を改変し、天然受容体との結合を減らす/新しい受容体親和性を強化。
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ペプチド挿入(peptide insertion):カプシド表面ループに短いペプチドや受容体結合モチーフ(例:RGD)を挿入して標的細胞特異性を付与。
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指向性進化(directed evolution):ランダム変異ライブラリを標的細胞や動物モデルでスクリーニングし、高効率な感染能を持つ変異体を選抜。
3. 偽型化(Pseudotyping)
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ゲノムは固定(通常AAV2 ITR) しつつ、外殻カプシドを別セロタイプに置換 → AAV2の複製特性を維持しつつ、新しいtropismを獲得。
4. 特定プロモーターや調節因子の利用(転写レベルでの標的化)
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ウイルスが非標的細胞に侵入しても、組織特異的プロモーター(例:GFAP → アストロサイト、cTnT → 心筋細胞)で転写を制御可能。
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miRNA標的配列:転写産物の3’UTRに組み込み、非標的細胞ではmiRNAによるサイレンシングが働く。
5. 非特異的結合の抑制(オフターゲット低減)
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化学修飾(PEG化など)で非標的組織との結合を抑制。
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天然受容体(例:AAV2のヘパラン硫酸プロテオグリカン)との親和性を低下させ、目的受容体結合を優先させる。
6. 併用投与戦略
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抗体やアプタマーをAAV表面に結合させ、標的細胞へ誘導。
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組織特異的ペプチドとの融合により、臓器への送達効率を向上。
AAVの標的化最適化は、カプシド改変(物理的アプローチ) と 転写制御(機能的アプローチ) を組み合わせることで実現されます。臨床的には 指向性進化で得られた変異体 と 組織特異的プロモーター が最も有効な戦略です。
PackGeneについて
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