
レンチウイルス(Lentivirus)とAAVウイルス(アデノ随伴ウイルス)は、遺伝子治療や遺伝子伝達に使用されるウイルスベクターですが、両者には以下のような重要な違いがあります。
1. ウイルスの種類と構造
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レンチウイルス:逆転写ウイルス科(Retroviridae)に属するRNAウイルスで、エンベロープを持っています。レンチウイルスは宿主細胞に逆転写を行って、RNAからDNAを合成し、それを宿主の遺伝子に統合します。
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AAVウイルス:パルボウイルス科(Parvoviridae)に属する小型DNAウイルスで、エンベロープを持たない単鎖DNAウイルスです。AAVは通常、アデノウイルスと共同感染することで宿主細胞に侵入します。
2. 遺伝子伝達の方法
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レンチウイルス:宿主細胞のゲノムに遺伝子を統合できるため、遺伝子伝達は持続的です。宿主細胞が分裂する際に、新しい細胞にも遺伝子が伝わります。
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AAVウイルス:AAVは通常、宿主細胞のゲノムに遺伝子を統合しません。遺伝子は環状DNAとして宿主細胞内に存在し、伝達は一時的です。ただし、稀に遺伝子が宿主のゲノムに統合されることもあります。
3. 宿主細胞
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レンチウイルス:分裂している細胞および非分裂細胞(神経細胞など)に感染することができます。したがって、さまざまな細胞タイプで使用できます。
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AAVウイルス:分裂している細胞に主に感染し、特定の宿主細胞タイプに適しています。
4. 免疫原性
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レンチウイルス:免疫原性が比較的高く、使用時に免疫反応を引き起こす可能性があります。特に大規模な治療では、免疫系からの反応が懸念されます。
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AAVウイルス:免疫原性が低く、免疫反応が起こりにくいため、安全性が高いとされています。そのため、AAVは多くの遺伝子治療で好まれます。
5. 遺伝子伝達容量
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レンチウイルス:遺伝子伝達容量は比較的大きく、約8-10kbの遺伝子を伝達できます。
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AAVウイルス:AAVの遺伝子伝達容量は小さく、通常約4.7kbの遺伝子までしか運ぶことができません。
6. 応用分野
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レンチウイルス:CAR-T細胞療法などの細胞治療や長期的な遺伝子治療に広く使用されています。遺伝子が宿主のゲノムに統合されるため、持続的な遺伝子発現が可能です。
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AAVウイルス:眼科や神経学、筋肉疾患などの遺伝子治療に適しています。免疫原性が低いため、臨床で広く使用されており、安全性が高いです。
7. 安全性
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レンチウイルス:遺伝子が宿主のゲノムに統合されるため、挿入変異のリスクがあります。このため、がんのリスクやその他の副作用が懸念されます。
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AAVウイルス:AAVは遺伝子統合が少ないため、相対的に安全であるとされています。これにより、AAVは遺伝子治療で使用される際に安全性が重視されます。
レンチウイルスは、長期間の遺伝子発現が必要な治療に適しており、さまざまな細胞に感染可能ですが、免疫反応や挿入変異のリスクがあります。
AAVウイルスは、安全性が高く、免疫反応が少ないため、短期間の遺伝子治療や特定の疾患に適しています。しかし、容量が小さく、伝達できる遺伝子のサイズに制限があります。
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