
AAV(アデノ随伴ウイルス)空グループ、つまり 遺伝子を搭載していない「空ベクター(empty capsid)」や「空のAAVベクター」
1. 一般的な結論
通常の実験用投与量では、AAV空グループは動物に大きな生理的影響を与えません。
AAVは非病原性ウイルスであり、細胞毒性や免疫活性化も比較的低いため、空ベクター単独ではほとんど影響が見られないことが多いです。
2. ただし、影響が出る可能性があるケース
ウイルス量(滴度)や投与量が非常に高い場合 | 肝臓や網膜などで軽度の炎症や免疫応答が起こることがあります。特にAAV9やAAV8など全身分布性が高いセロタイプでは注意が必要。 |
動物種や系統による違い | マウスではほぼ問題ありませんが、サルなどでは免疫応答(抗AAV抗体の上昇)が見られることがあります。 |
投与経路(IV, ICV, IT, IMなど) | 中枢や筋肉投与では一般に安全ですが、肝臓や全身投与の場合は一時的な免疫応答が出る可能性あり。 |
空カプシドの純度 | 精製が不十分だと、DNA断片やタンパク質残留が免疫系を刺激することがあります。 |
繰り返し投与 | 2回目以降に免疫反応(特に中和抗体産生)が強くなる場合があります。 |
3. 文献報告(概要)
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Mingozzi & High, Nat Rev Genet 2011
→ AAVは低免疫原性だが、高滴度静脈投与では一過性の肝細胞障害を報告。 -
Hordeaux et al., Hum Gene Ther 2020
→ AAV9空カプシドをマウス・サルに静脈注射しても重篤な副作用は観察されず。 -
Xiao et al., Gene Ther 1997
→ 空カプシドは発現ベクターと比較して炎症性反応が非常に弱い。
4. 実験上の扱い
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空グループ(AAV-empty)は 陰性対照 としてよく使われます。
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投与量を発現ベクター群と同等(vg数ベース)に揃えるのが一般的。
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特に免疫反応や組織損傷を観察する実験では、PBS群+AAV空群 両方を設けるとより明確な解釈ができます。
一般的な安全性 : 高い(ほとんど影響なし)
高滴度投与時のリスク: 軽度の炎症または免疫応答の可能性
使用目的 : 陰性対照として適切
推奨事項: 滴度・投与量・精製状態を確認すること
PackGeneについて
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