一般的に、AAVウイルスサンプルを繰り返し凍結融解すると、カプシドタンパク(VP1/VP2/VP3)が損傷または破壊されるリスクが高まり、ウイルス価の低下や感染効率の低下につながることがあります。
凍結融解がAAVカプシドに与える影響メカニズム
| 影響要因 | 説明 |
| 凍結時の氷結晶 | 凍結中に形成される氷結晶がウイルス粒子に物理的損傷を与え、カプシド構造を破壊する可能性があります。 |
| pHやイオン濃度の変化 | 凍結過程で緩衝液が局所的に濃縮されたりpHが変化したりすると、タンパク質構造が不安定になります。 |
| 表面張力の変化 | 冷凍–融解を繰り返すことでウイルス粒子に機械的ストレスがかかり、カプシド破損の確率が増加します。 |
| タンパク質自体の変性しやすさ | 繰り返しのストレスにより、カプシドが部分的に解離したり変性したりしやすくなります。 |
多くの研究や実験室の経験からは、
AAVは1〜2回以上の凍結融解を避けることが推奨されます。3回以上になると感染価の低下や粒子の破壊が顕著になる可能性があります。
凍結融解が実験結果に与える影響
| 影響 | 表れ方 |
| 粒子構造の破壊 | ssDNAの露出、カプシドの破損や緩み |
| ウイルス価の低下 | qPCRで測定するゲノム価はあまり変化しませんが、感染価(IFU/GC比)は大きく低下 |
| 感染効率の低下 | 細胞実験や動物実験での感染効率が低下 |
| 免疫学的性質の変化 | カプシドの完全性が損なわれると抗体結合や検出信号に影響 |
⚠️ 注意:カプシドが完全に破壊されていなくても、機能的ウイルス価は大幅に低下する可能性があります。qPCRはゲノム価のみを測定するため、機能的損傷は反映されません。
AAVの凍結融解損傷を避ける方法
| 操作 | 推奨 |
| 小分け保存 | 少量に分注(例:10〜50 μL/チューブ)して繰り返し凍結融解を避ける |
| 保存温度 | 長期は −80℃、短期間の使用は −20℃ |
| 緩衝液 | 0.001〜0.01% Pluronic F68 や 0.001% Tween-20 を添加して吸着や変性を防止 |
| 使用時の取り扱い | 使用前に低温で素早く解凍し、室温で長時間放置しない |
まとめ
AAVを繰り返し凍結融解するとカプシドタンパクが破壊されるリスクがあり、ウイルス価や感染効率が低下する可能性があります。 一度凍結融解したらできるだけ早く使用し、少量ずつ分注保存することが推奨されます。
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