ウイルスパッケージング(特に AAV)において、空カプシド(empty capsid)率が高いことは、最も一般的かつ実験結果に大きく影響する問題の一つです。以下では、ベクター設計、パッケージング条件、精製工程、品質評価の4つの観点から、空カプシド率を低減するための実践的な対策を解説します。
一、ベクター設計段階で空カプシドを抑制する(最重要)
1️⃣ 遺伝子サイズを適切に設計する
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AAV の最適パッケージングサイズ:4.4~4.7 kb(ITR 含む)
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遺伝子が短すぎる(<3.8 kb)または上限に近い(>4.9 kb)場合、
👉 空カプシドの割合が大幅に増加する
対策
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不要な配列(冗長な polyA、WPRE など)を削除
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小さすぎる遺伝子には中性スペーサー配列を追加
2️⃣ ITR 配列の完全性を必ず確認する
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ITR の欠失や変異 → ゲノムがパッケージングされず、空カプシドのみ生成
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主な原因:
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大腸菌内での組換え
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ORF のみを確認し、ITR を検証していない
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対策
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ITR 安定菌株(Stbl3 など)を使用
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上流工程で 制限酵素消化(SmaI、BssHII)による ITR 確認を実施
二、パッケージング条件の最適化(封入効率に直結)
3️⃣ 三種類プラスミドの比率を最適化する
一般的な AAV 三プラスミドシステム:
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トランスファープラスミド
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Rep/Cap プラスミド
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Helper プラスミド
📌 Rep の過剰発現は空カプシド増加の主要因
参考比率(目安)
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Transfer : Rep/Cap : Helper ≈ 1 : 1 : 2
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空カプシドが多い場合、Rep/Cap をやや減量
4️⃣ 血清型の選択
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血清型によって空カプシド生成傾向が異なる
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AAV2、AAV6:空カプシドが多い傾向
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AAV8、AAV9:比較的封入効率が高い
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👉 組織特異性に制限がなければ、封入効率の高い血清型を優先
5️⃣ 細胞状態とトランスフェクション品質
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HEK293 細胞の状態不良 → カプシド形成のみ進行し、ゲノムが入らない
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注意点:
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トランスフェクション時の細胞密度:70~80%
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マイコプラズマ陰性
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新鮮な PEI を使用し、比率を一定に保つ
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三、精製工程で空カプシドを除去する(差が出る工程)
6️⃣ 粗精製のみの使用は避ける
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PEG 沈殿、カラム精製のみでは
❌ 空カプシドと実カプシドの分離は不可能
7️⃣ 密度勾配遠心を用いる
推奨方法(研究用途)
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ヨードキサノール勾配(15% / 25% / 40% / 60%)
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CsCl 勾配(より高精度だが時間がかかる)
👉 40% 層に実カプシドが濃縮
👉 上層は主に空カプシド
四、品質評価:本当に空カプシドが多いのか?
8️⃣ 複数手法による評価が必須
qPCR のみでは誤判断の可能性あり:
| 方法 | 評価内容 |
| qPCR | ゲノムコピー数 |
| ELISA | 総カプシド数(空カプシド含む) |
| AUC / TEM | 空カプシドと実カプシドの比率(最も正確) |
空カプシド率低減 =適切な遺伝子サイズ + ITR 完全性 + Rep 発現制御 + トランスフェクション最適化 + 密度勾配精製
PackGeneについて
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