mRNA-LNPの封入率が低い原因には何がありますか

Apr 22 , 2026
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mRNA医薬品やワクチンの発展に伴い、LNP(脂質ナノ粒子)は現在もっとも広く用いられている送達キャリアの一つとなっています。LNPはmRNAを分解から保護し、細胞内へ効率よく届ける役割を担います。

その研究開発や製造工程において、「封入率(Encapsulation Efficiency)」は非常に重要な品質指標です。

封入率とは、製剤化の際に投入したmRNAのうち、最終的にLNP粒子内部へ取り込まれた割合を指します。封入率が低い場合、原料ロスが増えるだけでなく、製剤の安定性、有効投与量、さらには薬効にも影響を及ぼす可能性があります。

では、mRNA-LNPの封入率が低下する主な原因にはどのようなものがあるのでしょうか。

1. 脂質組成の設計が適切でない

LNPは一般に、イオン化脂質、コレステロール、補助リン脂質、PEG脂質で構成されます。このうち、mRNAとの結合に中心的な役割を果たすのがイオン化脂質です。

イオン化脂質の配合比率が低すぎる場合や、mRNAとの親和性が十分でない脂質を使用した場合、mRNAを効率よく取り込めず、遊離RNAが増加し、封入率低下につながります。

また、その他の脂質バランスも重要です。

  • コレステロール不足:粒子構造が不安定になる
  • PEG脂質過多:自己組織化を阻害する
  • 補助リン脂質過多:膜が硬くなり封入しにくくなる

そのため、既存処方をそのまま流用するのではなく、目的に応じた最適化が必要です。

2. N/P比が不適切

LNP開発では「N/P比」という指標がよく用いられます。これは、脂質側の陽電荷基(N)とmRNAリン酸基(P)の比率を意味します。

N/P比が低すぎると、mRNAと結合するための正電荷が不足し、一部のmRNAが粒子内へ取り込まれず遊離状態のまま残ります。その結果、封入率は低下します。

通常は、封入率だけでなく、粒径、分散性、安全性なども考慮しながら最適条件を探索します。

3. 混合工程が不十分

LNPは単純な撹拌で形成されるものではなく、脂質を含むエタノール相とmRNA水相が瞬時に混合されることで自己組織化します。

混合速度が遅い、あるいは局所的な濃度ムラがあると、

  • 脂質のみで空粒子が形成される
  • mRNAが取り込まれず残る
  • 粒径分布が広がる

といった問題が起こります。

そのため、近年では再現性の高いマイクロフルイディクス装置が広く利用されています。

4. pH条件が適切でない

製造時には一般に酸性条件(例:pH 4前後)が用いられます。これはイオン化脂質をプロトン化し、mRNAとの静電相互作用を高めるためです。

pHが高すぎると脂質の帯電が不十分となり、mRNAとの結合力が低下し、封入率低下の直接的な原因になります。

緩衝液調製ミスやpHドリフトなど、基本的な管理不備でも発生しやすいポイントです。

5. 塩濃度が高すぎる

mRNA溶液に高濃度PBSや金属イオンを多く含む緩衝液を使用すると、イオン強度の影響により脂質とmRNAの静電相互作用が弱まります。

その結果、複合化効率が下がり、封入率も低下します。

そのため、製造前には低イオン強度の緩衝液が選択されることが一般的です。

6. mRNA原料の品質や状態に問題がある

封入率は脂質や工程条件だけでなく、mRNA自体の品質にも左右されます。

代表例としては、

  • mRNAが分解している
  • 高濃度で粘度が高い
  • 分子長が長く高次構造が複雑である

などが挙げられます。

特に長鎖mRNAは短鎖RNAと比べて封入難易度が高く、より精密な条件設定が求められます。

7. 後処理工程での漏出

製造直後は高い封入率でも、透析、限外ろ過、バッファー交換、凍結融解後に数値が低下することがあります。

これは粒子構造が十分安定化する前にmRNAが漏出した可能性を示します。

主な要因として、

  • 強すぎるろ過せん断
  • 長時間透析
  • 凍結保護剤不足
  • 凍結融解の繰り返し

などがあります。

8. 測定法による見かけ上の低値

封入率測定にはRiboGreen法など蛍光法が広く使われますが、測定条件が適切でないと実際より低く評価される場合があります。

例えば、

  • 粒子破壊が不十分で内部RNAが放出されていない
  • 標準曲線の誤差
  • 残留エタノールや界面活性剤による干渉
  • サンプルの不均一採取

などです。

この場合、製剤の問題ではなく分析法の問題である可能性があります。

9. 現場で特に多い原因

実務上、封入率低下の原因として特に多いのは次の5点です。

  1. 製造時pHが高い
  2. N/P比不足
  3. 混合効率不足
  4. PEG脂質過多
  5. mRNA溶液の塩濃度が高い

10. まとめ

mRNA-LNPの封入率は、単一要因で決まるものではなく、処方設計、工程条件、原料品質、分析手法が複合的に関与します。

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