AAVプロモーターの選び方|研究目的に合わせた選択ポイント

Jul 29 , 2026
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プロモーターは、目的遺伝子の転写を制御するDNA配列です。適切なプロモーターを選ぶことで、以下のような点を最適化できます。

  • 発現レベル(高発現・中程度の発現など)
  • 組織・細胞特異性
  • 長期的な発現の安定性
  • AAVベクターの搭載容量

特にAAVベクターの搭載容量は約4.7 kbに限られているため、遺伝子サイズが大きい場合は、プロモーターの長さも考慮する必要があります。

主なAAVプロモーターと特徴

プロモーター 特徴 主な用途
CMV 強力な発現を示す汎用プロモーター 培養細胞、一般的な発現実験
CAG 高発現かつ比較的安定 in vivo実験、過剰発現
EF1α 幅広い細胞で安定して発現 長期発現、各種細胞
CBh 神経系で安定した発現 神経科学研究
hSyn 神経細胞特異的 脳・脊髄
GFAP アストロサイト特異的 中枢神経系研究
CaMKIIα 興奮性ニューロン特異的 神経回路解析
TH ドーパミン作動性ニューロン特異的 パーキンソン病研究
ChAT コリン作動性ニューロン特異的 神経伝達研究
TBG 肝細胞特異的 肝臓を標的とした研究
Albumin 肝細胞特異的 肝機能・代謝研究
MCK 骨格筋特異的 筋疾患研究
MHCK7 骨格筋・心筋で高発現 DMDなどの研究
cTnT 心筋細胞特異的 心血管研究

研究目的別のプロモーター選択

高い発現量を得たい場合

目的遺伝子をできるだけ高発現させたい場合には、以下のプロモーターがよく使用されます。

  • CAG
  • CMV
  • EF1α

GFPの発現確認やタンパク質の過剰発現、Western blot、qPCRなど、多くの基礎研究で利用されています。

なお、CMVは非常に高い発現が得られる一方で、一部の組織では長期発現時に活性が低下することがあります。そのため、長期間のin vivo実験ではCAGやEF1αが選択されることも少なくありません。

神経系で発現させたい場合

神経細胞に限定した発現を目的とする場合には、組織特異的プロモーターが適しています。

代表的なものとして、

  • hSyn
  • CaMKIIα
  • TH
  • ChAT

などがあります。

これらは神経科学、神経回路解析、オプトジェネティクス、DREADDsなどで広く利用されています。

肝臓を標的とする場合

肝臓で選択的に発現させたい場合には、

  • TBG
  • Albumin

がよく使用されます。

全身で発現するプロモーターと比較して、肝臓以外での不要な発現を抑えやすい点が特徴です。

筋肉で発現させたい場合

筋組織を標的とする研究では、

  • MCK
  • MHCK7

が一般的です。

骨格筋だけでなく、心筋での発現も期待できるため、筋ジストロフィーなどの研究で広く利用されています。

長期間発現を維持したい場合

長期発現を重視する場合は、

  • EF1α
  • CAG
  • CBh

がよく選択されます。

これらは比較的サイレンシングを受けにくく、長期間の動物実験でも安定した発現が期待できます。

発現量だけで選ばないことも重要

プロモーターは、発現量だけで判断するものではありません。

例えば、CMVやCAGは高発現が得られますが、幅広い組織で発現します。一方、hSynやTBGなどの組織特異的プロモーターは発現部位を限定できるため、背景発現を抑えたい実験に適しています。

研究目的によっては、高発現よりも組織特異性を優先したほうが望ましいケースもあります。

プロモーター選択時に確認したいポイント

AAVベクターを設計する際には、以下の点もあわせて確認しておくことをおすすめします。

  • 目的遺伝子のサイズ
  • 使用するAAV血清型との組み合わせ
  • 実験期間(短期・長期)
  • 投与経路
  • 動物種や対象組織

これらの条件によって、最適なプロモーターは変わる場合があります。

まとめ

AAVプロモーターの選択は、遺伝子発現の成否を左右する重要なポイントです。

高発現を重視するのか、組織特異性を優先するのか、あるいは長期間安定した発現を目指すのかによって、適したプロモーターは異なります。

また、AAV血清型、目的遺伝子、投与方法なども含めて総合的に設計することで、より安定した遺伝子発現と高い実験再現性が期待できます。

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