AAV肝臓・肺・筋肉でよく使用されるプロモーター一覧

Sep 23 , 2026
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AAVの組織特異的な発現は、血清型だけで決まるものではありません。

血清型は主に「どこへ到達できるか」に関係し、
プロモーターは「どの細胞で発現するか」を左右します。

肝臓、肺、筋肉などを標的とするAAV研究では、プロモーターの選択によって目的遺伝子の発現範囲や発現強度が変わる可能性があります。

この記事ではプロモーターの詳細な作用機序には踏み込まず、研究でよく使用されるものを整理します。

AAVの肝臓・肺・筋肉研究で使用される代表的な組織・細胞特異的プロモーターをまとめました。

肝臓でよく使用されるAAVプロモーター

組織・臓器 標的細胞 プロモーター 別名・一般的な表記 特異性・発現特性 主な用途
肝臓 肝細胞 TBG Thyroxine-binding globulin promoter 肝細胞での選択的発現によく使用 肝臓での遺伝子発現、代謝疾患研究
肝臓 肝細胞 hAAT AAT、SERPINA1 promoter 肝細胞での特異的/選択的発現 分泌タンパク質、肝臓遺伝子治療
肝臓 肝細胞 HCR/hAAT ApoE HCR/hAAT HCRエレメントとhAATの組み合わせ 凝固因子、分泌タンパク質発現
肝臓 肝細胞 LP1 Liver-specific promoter 1 コンパクトな肝臓特異的プロモーター 肝臓遺伝子治療
肝臓 肝細胞 HLP Hybrid liver promoter コンパクトな肝臓選択的発現 肝臓での遺伝子発現
肝臓 肝細胞 TTR Transthyretin promoter 肝臓での選択的発現 肝臓での発現、分泌タンパク質
肝臓 肝細胞 Albumin Alb、Albp 肝細胞関連発現 肝臓での発現、Cre/レポーター遺伝子
肝臓 肝細胞 ApoA-I ApoAI promoter 肝臓・リポタンパク質関連発現 脂質代謝研究

肝臓を標的とするAAV研究では、TBG、hAAT、HCR/hAAT、LP1、HLPなどが代表的なプロモーターとして使用されています。

ただし、同じプロモーター名であっても、研究によって使用される配列の長さやエンハンサーの組み合わせが異なる場合があります。そのため、実際にAAVベクターを設計する際には、プロモーター名だけでなく、使用する具体的な配列と参考文献を確認することが重要です。

肺・気道でよく使用されるAAVプロモーター

組織・臓器 標的細胞 プロモーター 別名・一般的な表記 特異性・発現特性 主な用途
肺・気道 肺胞II型細胞 SFTPC SP-C promoter AT2細胞関連の発現 肺胞II型細胞研究
肺・気道 肺胞・肺上皮 SFTPB SP-B promoter 肺胞・肺上皮関連発現 肺での遺伝子発現
肺・気道 Club細胞 SCGB1A1 CC10、CCSP promoter Club細胞・気道分泌細胞での発現 気道上皮研究
肺・気道 線毛上皮細胞 FOXJ1 FOXJ1 promoter 線毛細胞での発現 気道線毛細胞研究
肺・気道 基底細胞 KRT5 Keratin 5 promoter 気道基底細胞関連発現 気道上皮・修復研究

肺を標的とするAAV研究では、単に「肺特異的プロモーター」を選択するのではなく、どの肺細胞を標的とするのかを先に決めることが重要です。

例えば、

  • SFTPC / SP-C:肺胞II型(AT2)細胞関連研究
  • SCGB1A1 / CC10:Club細胞・気道上皮研究
  • FOXJ1:線毛上皮細胞研究
  • KRT5:気道基底細胞関連研究

など、標的細胞に応じて候補となるプロモーターが異なります

筋肉でよく使用されるAAVプロモーター

組織・臓器 標的細胞 プロモーター 別名・一般的な表記 特異性・発現特性 主な用途
骨格筋 骨格筋 MCK CKM、Muscle creatine kinase 筋肉関連発現 筋疾患・遺伝子治療研究
骨格筋 骨格筋 CK6 CK6 promoter 筋肉での選択的発現 筋肉レポーター、筋疾患研究
骨格筋 骨格筋 CK8 CK8 promoter 比較的強い筋肉発現 筋肉遺伝子治療
骨格筋 骨格筋 tMCK triple MCK enhancer/promoter MCK関連エンハンサーの組み合わせ 筋肉での遺伝子発現
骨格筋・心筋 骨格筋、心筋 MHCK7 MCK/α-MHC chimeric promoter 骨格筋と心筋での発現 筋ジストロフィー、micro-dystrophin
骨格筋 骨格筋 SPc5-12 C5-12、synthetic muscle promoter コンパクトな筋肉プロモーター AAV筋肉発現
骨格筋・心筋 筋細胞 Desmin DES promoter 筋肉関連発現 筋疾患研究
骨格筋 骨格筋 HSA Skeletal α-actin promoter 骨格筋での選択的/優先的発現 骨格筋研究
心臓 心筋細胞 cTnT TNNT2 promoter 心筋細胞特異的発現 心臓遺伝子発現
心臓 心筋細胞 α-MHC MYH6 promoter 心筋での発現 心筋研究

筋肉を標的とするAAV研究では、MCK/CKM系プロモーターが広く使用されており、CK6、CK8、tMCKなど複数の構成が研究されています。

また、MHCK7はMCK関連調節配列とα-MHC関連配列を組み合わせたキメラ型プロモーターで、骨格筋と心筋の両方を対象とする研究で使用されています。

ただし、AAVの組織特異的発現はプロモーターだけで決まるわけではありません。

実際のベクター設計では、

標的組織 → 標的細胞 → プロモーター → AAV血清型 → 投与経路 → 発現量

という流れで総合的に検討する必要があります。

さらに、AAVには搭載可能なゲノムサイズに制約があるため、プロモーターの長さもベクター全体の設計に含めて考える必要があります。

まとめ

AAVの組織特異的発現を検討する場合、「どのプロモーターを使うか」だけではなく、どの細胞で、どの程度の発現を得たいのかを明確にすることが重要です。

肝臓ではTBG、hAAT、HCR/hAAT、LP1、HLP、肺ではSFTPC、SCGB1A1、FOXJ1、筋肉ではMCK、CK6、CK8、tMCK、MHCK7、Desminなどが代表的な候補となります。

実際のAAVベクター設計では、標的細胞、動物種、投与経路、プロモーター配列、GOIのサイズなどを合わせて検討することをおすすめします。

免責事項:本記事は公開文献および公開資料をもとに、AAVで使用される組織・細胞特異的プロモーターを整理したものです。プロモーターの配列、長さ、エンハンサー構成、動物種、実験条件によって発現特性は異なる場合があります。具体的なベクター設計に使用する際は、対象となる原著論文や使用配列を確認してください。

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